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【Aro/Aceなジャニオタの話が聞きたいアンケート】集計結果

 

 先日私のツイッターアカウントで、このようなアンケートを募集しました。タイトル通り、Aロマ/Aセクのスペクトラムにいるジャニオタは、私以外にどれくらいいるのか。どんなことを感じながらジャニオタをしているのか。シンプルにめっちゃ気になる!知りたい!という思いで、【Aro/Aceなジャニオタの話が聞きたいアンケート】という何のひねりもないタイトルでアンケートを作成し、ツイッター上のAro/Aceなジャニオタの皆様に協力を仰いだところ、募集期間に53名の方に回答を頂きました。皆様本当にありがとうございました…!!
 ということで、さっそく回答いただいた結果をまとめたものを発表していきます。個人の趣味のクオリティですので、内容が微妙なところや詰めが甘いところがあると思います。どうかご了承ください…学生時代算数の段階でつまずいた人間なので、パーセンテージとか割合とか何となくの理解でやってて、本来はデータ扱っちゃいけない人間なんですよね…あと編集していて選択項目を一つに限定し説きゃよかった…とヒーヒーしてます…いろいろ稚拙…

 あと、あくまでも私のアカウントを中心としたフォロワーさんと、そこから広がっていった人が対象になっていますので、これがAro/Aceなジャニオタの総意や代表ということはないです。発端は「完全に個人の趣味」なので、学術的なあれとか何もないです。ともかく、Aro/Aceなジャニオタがどんなことを感じているのか、ご覧いただけたら嬉しいです。では!

 

 

※当ブログでは、Aro:Aロマンティックを「他者に恋愛感情を抱かないセクシュアリティ、及びそうである人」、Ace:Aセクシュアルを「他者に性的欲求を抱かないセクシュアリティ、及びそうである人」という意味で使用します。Aro/Ace、A-Spectrumについてもっと知りたいという方は、私が参考にしている下記のサイトを是非ご覧ください。

acearobu.com

 

note.com

 どちらのサイトも、Aro/Aceについて知りたい、Aro/Aceのアイデンティティについて戸惑いがある方に是非読んでいただきたいです。

 

 

回答募集期間:7/10~7/17

対象者:Aro/Aceなジャニオタの方(ご自身がAro/Ace(A-spectrum)のアイデンティティを持っている方)

回答者数:53名

募集方法:Googleフォームを作成し、当ツイッターアカウント(@cold_cold_ramen)で募集

・項目は全て任意選択としました。
・項目は全て複数選択ができるようにしました。
・項目は全ての項目を回答いただかなくても構わないとしました。
・選択項目は全て「その他」として記述回答もできるようにしました。

 

 

アンケート項目

【①】あなたには担当・推しのジャニーズがいますか?(選択項目)

【②】あなたがAro/Aceであることに気づいたのは、ジャニオタになる前/後ですか?(選択項目)

【③-1】②で「ジャニオタになる前」を選択した方に質問です。ジャニオタになったことで、何か気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

【③-2 】「気持ちの変化があった」方で、印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。(記述項目)

【④-1】②で「ジャニオタになってから」を選択した方に質問です。ジャニオタになったことで、何か気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

【④-2】 「気持ちの変化があった」方で、印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。(記述項目)

【⑤-1】あなたがAro/Aceであることで、オタクをしていて不満・不快・残念に感じたことはありましたか?(選択項目)

【⑤-2】「あった」を選択した方に質問です。それは具体的にどのような場面でしたか?(複数回答可)(選択項目)

【⑥-1】⑤で「不満・不快・残念になったことがある」と答えた方にお聞きします。それらの思いをしたことで、ジャニオタをする上での気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

【⑥-2】「気持ちの変化があった」と答えた方にお聞きします。それはどのような変化でしたか?(複数回答可)(選択項目)

【⑥-3】「変化があった」方で、特に印象的なエピソードがあれば教えてください。(記述項目)

【⑦-1】あなたがAro/Aceであることで、オタクをしていてよかった・嬉しかった・救われたことはありますか?(選択項目)

【⑦-2】「あった」を選択した方に質問です。それは具体的にどのような場面でしたか?(複数回答可)(選択項目)

【⑧-1】⑦で「よかった・嬉しかった・救われたことがある」と答えた方にお聞きします。それらの思いをしたことで、ジャニオタをする上での気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

【⑧-2】「変化があった」方で、特に印象的なエピソードがあれば教えてください。(記述項目)

【⑨】あなたにとって担当・推しはどんな存在ですか?(記述項目)

【⑩】あなたにとってジャニーズはどんな存在ですか?(記述項目)

【個人的な募集】 ジャニーズ関連作品で、クィアリーディングができる作品があればぜひ教えてください。楽曲、ドラマ、映画、舞台等、形態は問いません。(記述項目)

 

 

結果

【①】あなたには担当・推しのジャニーズがいますか?(選択項目)

回答者数:53名

「いる」50名(94.3%)
「いない」3名(3.8%)
「その他」1名(1.9%)

記述回答でいただいた内容

・便宜上好きなアイドルをそう呼ぶことはあるが、あまり担当や推しだとはおもっていない(「その他」を選択)

・今はとくにいないが、一時期嵐の大ファンだった。(「いない」を選択)

 

 

【②】あなたがAro/Aceであることに気づいたのは、ジャニオタになる前/後ですか?(選択項目)

回答者数:53名

「ジャニオタになる前」18名(34%)
「ジャニオタになってから」27名(50.9%)
「はっきりとわからない/決めたくない」8名(15.1%)

 

 

【③-1】②で「ジャニオタになる前」を選択した方に質問です。ジャニオタになったことで、何か気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

回答者数:21名

「あった」6名(28.8%)
「なかった」15名(71.4%)

 

 

【③-2 】「気持ちの変化があった」方で、印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。(記述項目)

回答者数:5名

・人と触れ合うことへの抵抗が減り、温もりを求めるようになった。好きな人とハグすることへの憧れが生まれた。

・胸キュン台詞など疑似恋愛的なものは求めていないファンもいる!ということを少しでもアピールしたくて、AroAceだとTwitterでオープンにした

・恋愛ドラマを観たくなくなった

・今までは好きなタイプが全くピンと来てなかったですが、ジャニーズを見るようになってから、なんとなくこういうタイプが好きなのかなと思うことが増えた。

・男女の恋愛系の話を避けて生きていたので、推し始めてから雑誌でのインタビューなどを読むようになり、世の中こんなに恋愛で溢れているんだなーと思い知った

【ミニコメント】※結果を見ながら私が考えたことで、いただいた回答を否定する意図、読まれた方の考えを操作する意図はありません。読み飛ばしていただいて全然構いませんし、読まれる方も単なる私のぼやきだと思っていてください。 

 

 回答を見ながら「同意!!!」の連続でした。「『好きなタイプ』がなんとなくわかるようになった」は私もマジでそうで、ジャニオタになる前の学生時代、そういう質問をされてすごい困ったけど、ジャニオタになってから、そこで求められているのは恋愛的に好きな相手の特徴である、というのはわかっているうえで、具体的な名前を上げられるようになったことで(処世術として)楽になった経験があります。あと「好きな人とハグすることへの憧れが生まれた」もわかる…当たり前に親密なスキンシップを取っている姿を見ると、恋愛・性愛的な文脈でなく触れあうことができるジャニーズの人たちへのうらやましさが湧き上がってくること、正直あります。

 

 

【④-1】②で「ジャニオタになってから」を選択した方に質問です。ジャニオタになったことで、何か気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

回答者数:30名

「あった」5名(16.7%)
「なかった」25名(83.3%)

【ミニコメント】

 この項目は②、③-1と照らし合わせながら見ると面白いです。まず、今回回答いただいた方の傾向として、ジャニオタになってからAro/Aceであることに気づいた人の方が多いです。具体的にいつの時期かということは聞かなかったのであくまで私の想像ですが、日本にAro/Aceのオンラインコミュニティが登場したのは2000年以降、*1また国際的なAセクシュアル最大のオンラインコミュニティである「AVEN」が設立されたのは2001年なので*2、多くの人が「Aセクシュアル」と出会う機会を得たのは2000年以降かなと想像できます。(もちろん、その前からAセクシュアルの人はいました。概念がなかったことと存在すらなかったことは同義ではありません)この設問だとジャニオタになる前か/後かしか読み取れないことに集計を締めきってから気づいたので、もう少し詳細に知るなら回答者の年代、ジャニオタになった年代、Aro/Aceだと気付いた年代の集計取ってみたら面白かったかもしれないです。グラフにするのめちゃ大変そうだけど…Aro/Aceというアイデンティティにジャニーズがどう寄り添っていたのか、どんな影響を与えたのかとか、個人の語りとして興味があるのですが、それは③-2、④-2で回答いただけたからよかったのかな……
 そしてどちらの項目も、ジャニオタになったことで「気持ちの変化がなかった」の方が多かったです。この「変化」というのもまた微妙で難しい概念だと思うのですが、③-2、④-2でいただいた回答を見ると、比較的ネガティブな出来事としてのエピソードが多めだったかなと感じました。ただこの「ネガティブ」とは、世の中に蔓延る異性愛規範が、アイドルーファン構造により色濃く表れているがゆえなのだと思います(恋愛が娯楽として広く支持されていることとか、インタビュー等で質問される「(恋愛的に)好きな相手」や「結婚するなら」といった欲求は必ずすべての人間に備わっているという前提が、他者を深く知る、楽しい話題として受け入れられている、信じられていることとか)。オタクをする上で社会規範の影響を切り離すことができないことを痛感します。

 

 

【④-2】 「気持ちの変化があった」方で、印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。(記述項目)

回答者数:2名

・(ジャニオタになった後Aro/Ace自認した人間なので、自認後にジャニオタ活動をする上での気持ちの変化について) ジャニオタをしているとやはり異性愛恋愛規範のようなものに触れる機会がより多いので(楽曲、インタビュー、ドラマや映画や舞台など)そこで「みんな異性への恋愛感情や恋愛経験を持っているもの」ということを前提に話が進むことに違和感を度々覚えるようになりました。

・雑誌などで繰り返し訊かれている「好きな人・好みのタイプ・結婚するなら」などの質問をされているアイドルを見るたびに、この人がAro/Aceであればこういった質問をされるのは難しいだろうな、どんな気持ちで答えているんだろうかと考えてしまうようになった。/歌詞で性別が指定されている楽曲を意識的に避けるようになり、二人称が「きみ」など性別を指定されていない楽曲をすすんで聴くようになった。

 

 

【⑤-1】あなたがAro/Aceであることで、オタクをしていて不満・不快・残念に感じたことはありましたか?(選択項目)

回答者数:53名

「あった」43名(81.1%)
「なかった」8名(15.1%)
「その他」2名(3.8%)

記述回答でいただいた内容

・不満というか、自分には理解できない感覚だなぁと寂しい気持ちになった(「その他」を選択)

・強いて言うならみんなaroaceや一定のセクシャリティへの差別構造に無関心だったりノンポリ気取ってたりするくせにガチ恋のひとのことはバカにしてるオタク多すぎて世の中…という気持ちにはよくなります。(「その他」を選択)

【ミニコメント】

 回答率100%の項目だったのですが、8割以上がAro/Aceなジャニオタであることで「不満・不快・残念」に感じたことがあるということでした。この世がそもそも異性愛前提に設計されているので、その中にあるアイドルというコンテンツもそりゃあ異性愛的であろうと思ってますけど、割合として見るとまあまあの数だな…と思いました。やべえですねほんとに。

 二つ目の記述回答でいただいたもの、めちゃ同意です。私は恋愛に関心はないしガチ恋がどういうことなのかもいまいちわかっていないし、何より恋愛至上主義がのさばっている現状は最悪だと思っていますが、「どう推すべきか」みたいな規範も悪しきものだと思っています。「あいつは愚か、自分はそうじゃない」みたいな線引きをできる立場にいると思っているのがヤバいし、その基準は大体マジョリティに都合のいいように作られているので。個人的には、オタクは等しくオタクであるというメッセージと、その中にはヒエラルキーが作られており、セクシュアリティや「積むことが正義」のような経済状況、エイジズム、情報へのアクセシビリティ等々の差別構造が存在しているという指摘が必要なのかなと思います。どうやってそれをすればいいかはわからないですが…

 

 

【⑤-2】「あった」を選択した方に質問です。それは具体的にどのような場面でしたか?(複数回答可)(選択項目)

回答者数:44名

雑誌(ドル誌、一般誌等形態は問いません)」31名(70.5%)
テレビ番組」31名(70.5%)
楽曲(歌詞等)」19名(43.2%)
ライブ・舞台(現場・配信・映像等形態は問いません)」18名(40.9%)
ラジオ番組」18名(40.9%)
配信番組(YouTubeや有料配信など、テレビ以外の媒体)」9名(20.5%)
ウェブ媒体(ライブ・舞台レポなど本人以外が書いたもの)」9名(20.5%)
パフォーマンス(振り付け等)」8名(18.2%)
ウェブ媒体(本人発信のジャニーズウェブや公式ツイッターでのコメント等)3名(6.8%)
「その他」3名(6.8%)

記述回答でいただいた内容

・アイドルに男女の恋愛前提の質問をされているのを見ると、もしかしたら、アイドルの中にもシスヘテロ以外の人がいるかもしれないのに…実は苦しんでる人はいないのだろうかと心配になる。(「その他」を選択)

・恋愛ドラマ(「その他」を選択)

・映画(「その他」を選択)

【ミニコメント】

 最も多かった項目は、同率で「雑誌」「テレビ番組」でした。『ドル誌の「好きな女の子のタイプ」のような質問は、結果として読者に(もインタビュイーであるタレントにも)異性愛主義を押し付けるものではないか』という話題はツイッターで度々上がる印象なので*3、上位に来るのも納得という感覚です。
 面白いな~と思ったのは次点で「楽曲」がランクインしていることです。(経過をこまめに見ていたのですが、「楽曲」「ラジオ番組」は30人くらいのところまではそこまで多くなかったのですが、後半回答率が上がっていくにつれて票を伸ばしていっていました)私もメロディーは好きだけど歌詞は受け入れられない!という葛藤を抱えて聴かなくなった曲がいくつもあるので、他の人はどんな感じなんだろうと思っていたのですが、こんなに多いのは正直予想外でした。改めて異性(恋)愛主義に偏った楽曲の多さを考えてしまいました。私はジャニーズ業のメインはライブ、舞台でのエンターテイメントだと思っているので、メインどころで既にファンを弾くようなことをしててヤバ……という気持ちです。その現場でのエンターテイメントも同率3位ですからね。上位3位の項目がオタクをするうえで触れることが多いコンテンツだから、とも考えられるのですが、それだけこの世が異性(恋)愛主義の支配下にあることを感じさせられて、知ってはいたけどさ……になりました。

 

 

【⑥-1】⑤で「不満・不快・残念になったことがある」と答えた方にお聞きします。それらの思いをしたことで、ジャニオタをする上での気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

回答者数:44名

「あった」27名(61.4%)
「なかった」17名(38.6%)
「その他」1名(2.3%)

 

 

【⑥-2】「気持ちの変化があった」と答えた方にお聞きします。それはどのような変化でしたか?(複数回答可)(選択項目)

回答者数:28名

対象の人物・コンテンツを避けるようになった」13名(46.4%)
不満・不快・残念な気持ちになっただけ」13名(46.4%)
不満・不快・残念な気持ちを抱えながらファンを続けている」10名(35.7%)
対象の人物、コンテンツに嫌悪感を抱くようになった」6名(21.4%)
不満・不快・残念な気持ちをSNSや意見フォームで発信した」5名(17.9%)
ジャニオタをやめたくなった」2名(7.1%)
「ジャニオタをやめた」0名(0%)
「その他」3名(10.8%)

記述回答でいただいた内容

・多様な性に理解のある人を好きになった。(「その他」を選択)

・特定のコンテンツのみ避けるようになった(「その他」を選択)

【ミニコメント】

 最も多かった項目は、同率で「対象の人物・コンテンツを避けるようになった」「不満・不快・残念な気持ちになっただけ」でした。
 この項目、選択肢を作るのにすごく苦労しました。微妙なニュアンスの違いをつけるのも難しかった*4避けるか諦めるか以外に何があった?というところで悩み、結局自分が取捨選択しながら大丈夫な部分を得るしかない、いわゆる自衛するしか方法ないんじゃないの?と残念な気持ちになりました。そして「嫌悪感を抱くようになった」方や「ジャニオタをやめたくなった」方がいること、非常に重要な問題だと思います。それだけの苦痛を好きな(だった)はずの存在から浴びるのがどれだけ悲しくて悔しいか。いや~~異性愛主義~~恋愛至上主義~~……

 

 

【⑥-3】「変化があった」方で、特に印象的なエピソードがあれば教えてください。(記述項目)

回答者数:12名

・ドル誌やバラエティ番組の異性愛前提の質問を見ると、アイドル本人のセクシュアリティが考慮されていないことにモヤっとしたり、ファンは恋愛感情ありきで応援していると思われているようで疎外感を感じてしまい、そういったコンテンツには触れないようになった。

・雑誌等で異性愛前提の質問(例:「好きな女性のタイプは?」)をされているのを見るのが辛くなった

・「人は(異性に)恋をして当たり前」という前提で話をされると、うーん、とモヤモヤした気持ちになります。それを当たり前として疑ってないんだろうなあという言動を見ると、Aro/Aceは最近では多少認知度の上がってきたLGBTQ+の中でもとりわけ一般認知度の低いものだと思うので知らなくても理解されなくても仕方ないか〜とは思いますし嫌な気持ちにまではなりませんが、モヤッとしたしこりのようなものはしばらくそのタレントに対して残ることがあります。 また、元々好きだった曲でも「そこに男と女がいれば当然恋愛になるもの」みたいなことが前提になってる歌詞に対してモヤッとすることもあり、少しその曲に対する熱量が減るといったこともあります。(追記あり、回答者様の意図&作成者の判断で掲載しません)

・キュン台詞などのコーナーが全く楽しめないこと

異性愛に関するものが基本的に苦手なので、推しが出演している作品でも自分に合わなそうなものは無理してチェックせず避けるようになった。

・「結婚すること」が幸せの必須条件かのような質問が飛び交う推し主演舞台のゲネプロ取材にうんざりした。

・ノンセクで性嫌悪があるので、いわゆる情事の曲や腰振りダンスが本当に無理です。ドラマでのベッドシーンを見てしまって、推しのことを生理的に受け付けなくなってしまい推し変したこともあります。

・ラジオ番組での特定の人物に対して「抱かれたい」などの性的な感情が入ったラジオネームなどは頻繁に見られてとても悲しくなります。 また、アイドル雑誌や楽曲のコンセプトで胸キュン系があると恋愛感情や性的感情を持つ人に対した「こうしたら喜ぶでしょ?」という作り手の意図を感じてしまうことがありそうでない私は不快に感じてしまいます。

・雑誌を読むのをほとんど辞めてしまった。

・テレビ番組で好きなアイドルが未婚の年上の先輩に対し、「結婚しないで老後どうするんですか?」と聞く場面があり、ナチュラルに結婚や妻側がケアを担うことを当たり前のものとする意識を内面化して、かつそれをテレビという公共空間で公にしても大丈夫だと思っていると感じた。私は怒りと悲しみが止まらなくなり、始めてファミクラにご意見メールを送ったりファンとしての在り方を考え直すようになった。グループのメンバーにも結婚を当たり前とするような発言が度々見受けられたので、一度距離を取る時間を設け、今は無理にでも現場行くということはせず、行けたら行くのスタンスでゆるく推すようになった。

・雑誌インタビューや楽曲などあらゆるところに恋愛の話題があり、楽しめないコンテンツがかなりある。ジャニーズを好きな気持ちはあるので、好きと苦痛(嫌い)の間での葛藤がある。

・ドル誌では、性愛の対象が女性であると決めつけた質問が多いことに違和感を覚えています(「女性の好きな仕草は?」等)

【ミニコメント】

異性愛前提で物事を進められているのを感じたとき」が多い印象です。やっぱり雑誌やテレビの場で起こることが多いようですね。そして、いただいたコメントを超ざっくり分類すると「彼らを取り巻く環境の問題」と「本人の考えの問題」に分けられると(きれいに二分できるものではなく重なり合い、相互に影響し合う要素ではありますが)感じたのですが、どちらかというと環境の問題の方がより「不快・不満・残念」の理由になる傾向があるように思いました。

 その環境に身を置き、学習した結果「結婚しないで老後どうするんですか?」のような発言が出てくるのだろうなと。環境が問題なのだから本人は無罪なんてことはないですが、個人の善意に頼る方法を望んでもそれは差別構造の理解にはつながらず、結果その場しのぎ的な結果しか得られないと考えているので、正しく学習できる環境が作られないと解決には至らないと思うんですよね。Aro/Aceなジャニオタの私(たち)の不満・不快・残念を生む規範である「アイドルは(異性愛的な)疑似恋愛の欲望の対象」という言説に対抗するには、オタクが「それだけではない(もしくはそうではないという言い切り)」と発信していくことと、アイドルがそのメッセージに気づき、発信していくことの双方からの働きかけがあって初めて実現すると考えているので、そのためにも異性愛以外の存在を認識し、発信できる環境を作っていく動きを業界から見せてくれ~~「国民の皆様の理解が得られてから」みたいなヌルいことは間違っても言わないで早うその態度を見せろ~~

 

 

【⑦-1】あなたがAro/Aceであることで、オタクをしていてよかった・嬉しかった・救われたことはありますか?(選択項目)

回答者数:52名

「あった」18名(34.6%)
「なかった」34名(65.4%)
「その他」1名(1.9%)

記述回答でいただいた内容

・なかったというのは、何もいいことなんかなかったという意味ではなく、Aro/Aceであることとオタクをすることに自分の中で関連性がないという意味です。(「なかった」を選択)

【ミニコメント】

 設問に「楽しい」を入れず「よかった・嬉しかった・救われた」としたのですが、ほとんどダブルスコアでそれらの経験は「なかった」になりました。

 どの項目も、回答者数が25名を超えるくらいから割合の大きな変動はなかったのですが、この項目がずっと「救われたことはない」が「救われたことがある」の倍の比率なのを見たときはまじか!と思いました。それも⑥-3の記述回答を見るとそらそうか……となったんですけどね。それとも「救われる」が重すぎたのか?

 

 

【⑦-2】「あった」を選択した方に質問です。それは具体的にどのような場面でしたか?(複数回答可)(選択項目)

回答者数:18名

ライブ・舞台(現場・配信・映像等形態は問いません)」7名(38.9%)
雑誌(ドル誌、一般誌等形態は問いません)」6名(33.3%)
ラジオ番組」5名(27.8%)
楽曲(歌詞等)」5名(27.8%)
ウェブ媒体(本人発信のジャニーズウェブや公式ツイッターでのコメント等)」3名(16.7%)
パフォーマンス(振り付け等)」3名(16.7%)
テレビ番組」2名(11.1%)
ウェブ媒体(ライブ・舞台レポなど本人以外が書いたもの)」2名(11.1%)
配信番組(YouTubeや有料配信など、テレビ以外の媒体)」1名(5.6%)

【ミニコメント】

 【⑤-2】で1位だった「テレビ番組」は5位まで下がっており、同率3位だった「ライブ・舞台」が1位に上がっています。この項目は反比例の連動をしていました。「雑誌」は1位→2位、「楽曲」は2位→3位「ラジオ番組」は3位→3位と、小さな順位変動はありますがおおよそ同じ割合でした。「ウェブ媒体(本人発信のジャニーズウェブや公式ツイッターでのコメント等)」はどちらも得票数は同じなのですが、【⑤-2】では6位だったのが【⑦-2】では4位まで上がっています。
 個人的に興味深いのは、変動の少なかった「雑誌」「楽曲」「ラジオ番組」の項目です。特に「雑誌」は、【⑤-2】で参照したnoteや【⑥-3】のコメントで寄せられたような、ドル誌の質問が異性愛規範や恋愛至上主義に馴染めない(適応しない)人間にストレスを与えることが多いのに、一方でAro/Aceなジャニオタを「よかった・嬉しかった・救われた」気持ちにさせることもあるという、コンテンツの多面性を感じました。てか最大の問題は雑誌というか「雑誌の質問の仕方」なんですよね。インタビュイーが投げられた前提を壊すことも全然できることだしそうしてほしいけど、編集が入る媒体でそれがそのまま通るケースはどれくらいあるのだろうかと考えたら、変わるべきは異性(恋)愛規範から脱することを許していない前提の方なんですよね。

 

 

【⑧-1】⑦で「よかった・嬉しかった・救われたことがある」と答えた方にお聞きします。それらの思いをしたことで、ジャニオタをする上での気持ちの変化はありましたか?(選択項目)

回答者数:18名

「あった」6名(33.3%)
「なかった」12名(66.7%)

 

 

【⑧-2】「変化があった」方で、特に印象的なエピソードがあれば教えてください。(記述項目)

回答者数:4名

・Aro/Aceに対して直接的に言及されたものでは全くなく私が勝手に救われただけではありますが… 好きなグループのメンバーの1人のブログで、「君が君でいることを恐れる必要は全くない。君が君であることを謝る必要は絶対にないのさ」「どんな君でも君は君を愛して君は君を生きるんだ」と力強く綴ってくれたことです。 Aro/Aceであるゆえにモヤモヤしたりマイノリティであることに生きづらさを覚えたりした時も含めて、人生の中で自分に自信を失いそうな時に何度もこの言葉に、そしてそれを綴ってくれたアイドルがいることに勇気を貰っています。 この言葉をくれるアイドルがいるから、どんな私だろうと私は私を曲げずに否定せずに生きてやろうと思います。

・ラウールさんが「素のまんま」というラジオで自分のことを「女性が好きな男性」と言っていて知っていてくれているんだと思い嬉しかったです。

・私の好きな方(いわゆる担当)は体を鍛えていてバラエティ番組などでは筋肉を見せて欲しいと言われ服を脱ぐことも多々あります。そういった時の反応は様々で男性(同性の方)だとカッコいい!凄い!などが多いですが女性(異性の方)だとごく稀に性的な表現をされる方がいます。 雑誌でのインタビュー、特にアイドル雑誌以外の雑誌では肉体について聞かれる事が多くそのどれもが彼の鍛える理由、そこへの信念を追求していてとても安心できる内容ばかりです。 具体的にアセクシュアルへの対応をしてくださってるわけではないですが、恋愛によりがちな表現や内容をしっかりとその人の内面にフォーカスしてくださるインタビュー記事はコンテンツの消費者としてとても嬉しいです。

橋本涼さんがどこかのライブや配信などで「みんなで幸せになろうぜ」と言っていたのが印象的だった。‖SexyZoneのファンネームがセクガル→セクラバに変わった時。

 

 

【⑨】あなたにとって担当・推しはどんな存在ですか?(記述項目)

回答者数:44名

・癒し
・恋愛的・性愛的な意味ではない感情で愛することを受け入れてくれる存在
ロールモデル
・気持ちを明るくさせる存在
・可愛い尊い生き物
・「自分もこうなりたい」と思わせてくれる、尊敬する人
・疲れた時に飲むキレートレモンのような存在
・元気の源、尊敬する人
・生きる上での活力、楽しみであり、恩人。あるいはこの世界を生きる上での戦友。
・人生をさらに楽しくさせてくれる人たちといった感じです。
・天使ちゃん
・尊敬する存在、愛でる存在
・尊敬し憧れる存在で、パフォーマンスを1番見ていたいと思う人
・心配で心配で、見守りたいと思わされる存在。
ニュートラルな価値観を持っていて自分の考え方や視野を広くしてくれる存在
・生活を彩ってくれる、見ているだけで元気になれる、推しに会える、推しが見れることのために頑張ろうと思える存在。
・憧れで、幸せな人生を目指す上でお手本になってくれる人。
・楽しい気持ちにさせてくれる存在。
・美しい物体、おもしれー男
・声が堪らなく良い。顔も良い。絵画。
・自分を全肯定してくれるもの。
・10代のはじめから40代後半の今までずっと人生を見させてもらってる人
・憧れ、尊敬
・落ち込んでる時でも笑って前を向くきっかけになれる存在。
・見てかわいい、生活上のたのしみ
・可愛い、かっこいいだけじゃなく尊敬できたりいてくれることで自分も頑張ろうと思わせとくれる存在。
・”アイドル“という存在の可能性を拡張してくれる人
・元気をくれる存在。人生の楽しみのひとつ。
・自分の可能性を広げてくれる存在
・テレビでも雑誌でもラジオでも現場でも見たり聞いたりするとうれしくなる存在
・尊敬
・人生を豊かにしてくれる尊敬する存在
・キャラクター
・世界で1番好きな人です(もちろん恋愛感情はなく、愛という意味で)
・元気をもらえる存在
・応援しているアイドル。
・物心ついた時には既に好きになっていて、人生の2/3をファンとして過ごしているのでもはや言語化することも難しい存在。 幻滅したり残念に思うこともある一方、AroAceとしてではないものの彼がファンのために言葉を尽くしたり何かをしようとしてくれているという事実だけでとても幸せになるし、新しい仕事に全力を注いだり仲の良い友人の会ったりして彼の毎日が充実していることを知るととても嬉しくなる。多分家族や親戚のような感覚に近いと思う。
・憧れと羨望を感じる人
・尊敬する成人
・日常の彩り。
・『推し』って感じの存在。幸せであってくれ。
・日常を潤してくれるエネルギーのような存在

 

 

【⑩】あなたにとってジャニーズはどんな存在ですか?(記述項目)

回答者数:39名

ジャニー喜多川や事務所に対して不満があり、崇拝したくない。推しグループが退社しても応援したい。
・自由度が高い面もあるが、そうでもない面もあり複雑な気持ちがある
・生活を彩るもの。生活に変化をくれるもの。
・自分の生きづらさを軽くしてくれるキラキラした存在
・上記と似てしまいますがビタミン剤のような存在です。
・元気の源、尊敬する人
・様々な思いはありますが、総合的に一言で言うなら「光」です
・アイドルという稀有で大変な仕事を続けてくれて感謝しかないです。人生をさらに楽しく彩ってくれる人たちなので、プライベート含めずっと幸せであってほしいと願ってます。
・あくまで現実の中で夢を見せようとしてくれる存在
・心の支え
・パフォーマンスで楽しませてくれる存在
・娯楽であり、色んな夢を見せてくれる存在
・キラキラ輝いていて、夢を見させてくれる存在。
・キラキラしていて尊い、色んな人たちに元気をくれる存在
・楽しい気持ちにさせてくれる存在。
・虚構、深入りしたくない
・こんな人が世の中にいるんだなあ、の認識
・ありがたい存在。
・美しいパフォーマンスが見れる!
・エンターテインメント
・無いと生きていけないくらい大切
・多くの人を笑顔にでき、生きる糧にしてくれている存在。
・どうにも“女子受け”を狙わざるを得ないのはわかるけれど、伝統ある組織で誇りを持ってアイドルやってる推しをみられるところ
・エンターテイナー。わくわくした気持ちをくれる。
・シス女性の私が「可愛い」と愛でることが許される存在。少年の永遠性、夢々しくあることを良しとた人たちの集まりで、それを継承しようと頑張っている人たち。
・推しを支えてくれるコミュニティ。
・偶像
・人生をより豊かにしてくれる存在
・エンターテイメントの巨匠
・キャラクター
・未だに異性愛前提なところがあるし、ミソジニー発言が目立つ人もいて残念。でもやっぱり好きだし、だからこそ事務所・タレント共にジェンダーに関する知識をもっと身につけて欲しい。
・唯一無二の楽しさを感じるエンターテイメント
・人生と共にあるもの。最近では、逃げ場になっている。
・みんなを幸せにすることがある、巨大組織
・好きになった人がジャニーズだったという認識なのでそこまでジャニーズに思い入れはないが、好きな人がジャニーズであること、アイドルであることに誇りを持っているから見守っているというスタンスでいる。個人的にはジャニー喜多川に関する問題だったり縦社会のホモソノリなどに対して度々疑問を持ったり、時に嫌悪感を覚えることがあるので、好きな人を見出してくれたことへの感謝と猜疑心を向けている。
・プロ集団(時に本人の思想からくる発言でボロが出たと思う時もありますが)
・不可思議な存在。 わたしは好きだけど、向こうはわたしをマーケティングの範疇としていない。
・タレント事務所。ランダムグッズ無い所だけは神。
・エンターテインメントのプロ集団

 

 

【個人的な募集】 ジャニーズ関連作品で、クィアリーディングができる作品があればぜひ教えてください。楽曲、ドラマ、映画、舞台等、形態は問いません。(記述項目)

 

 これはまじでただただ個人的に知りたくて設けた項目です。皆さん色々教えてくださりありがとうございました…!回答が集まってから気づいたのですが、クィアリーディングを【異性愛の枠内に収まらない性愛のありかたに注目」し、異性愛だけを前提にした読解では抑圧されてしまう可能性に光をあて」ていく作品の読み方】*5とすると、異性愛以外の関係性を描いていると明示されている作品は「クィアリーディング」にはあてはまらないんですよね。これは私のワードチョイスのミスです…「異性愛以外の関係を描いた作品、もしくはクィアリーディングできる作品」とすればよかったです…求めるものの定義を曖昧にしてしまい申し訳ないです。ちなみにアンケートを作成する前に私の頭の中にあった作品は

・『Twilight Sunset(Sexy Zone)』*6
・「ビューティフル・サンデイ(舞台作品)」*7
・「愛の酷薄(舞台作品)」*8

です。

 

回答者数:21名

・ドラマ作品

「消えた初恋」7名
人間・失格」2名
「同窓会」1名
「99.9%刑事専門弁護士」1名

「消えた初恋」

・目黒さんと道枝さんの恋愛模様を描いた作品です。ラブストーリーではありますが、目黒さん演じる井田が「''好き''が分からない」と発言するシーンがあり、井田は少しAceの傾向があるのでは?と見ていて感じたので名前を挙げさせてもらいました。(8話にセクシュアルマイノリティに偏見を持つキャラクターが出てきます。苦手な場合はご注意ください。)
・このドラマにはLGBTQ監修の方が就いています。
・BL作品というよりも、性別関係なく好きな人を好きでいる、という考え方がパンセクアセクシャルの自分に共感出来た

「99.9 刑事専門弁護士」

・主人公の深山をAroAceとして見ることも可能で、ジャニーズ、特に私の好きな人(松本潤)主演ドラマではありがちのメインキャラクター同士の恋愛が一つも出てこない珍しいドラマで、恋愛の権力構造や暴力性のようなものを感じない店で見ていて負担が少ない作品だと思う。(女性に対する描写や性被害に関する表現などで問題も多く含んではいるが)

 

・映画作品

「彼らが本気で編むときは、」1名
「窮鼠はチーズの夢を見る」1名
ハチミツとクローバー」1名

ハチミツとクローバー

・実写映画版に櫻井翔さん出演されています。クィアリーディングができる、という意味では漫画の方が考えさせられる部分があるかと思います

 

・舞台作品

THE BOY FROM OZ」1名

「ヘドウィグ」1名

 

・楽曲

『硝子の少年(KinKi Kids)』1名
『rouge(菊池風磨)』1名
名脇役Sexy Zone)』1名
SixTONES楽曲全般 1名
『わたし(SixTONES)』1名
『KISSIN' MY LIPS(Snow Man)』1名
『EVERYTHING IS EVERYTHING(Snow Man)』1名
『ダイヤモンドスマイル(なにわ男子)』2名
『Soda Pop Love(なにわ男子)』1名
『初心LOVE(なにわ男子)』2名
『Lil miracle(Lilかんさい)』1名

『硝子の少年(KinKi Kids)』

・個人的にですが、硝子の少年は男性→女性よりも女性→女性視点の歌詞として解釈した方がしっくり来ています。特に「指に光る指輪 そんな小さな宝石で 未来ごと売り渡す君が悲しい」の部分でそう感じました。

『rouge(菊池風磨)』

・男女の恋愛ソングともとれますが、女性同士の恋愛ソングととることもできると感じます。(「She」「Girl」と歌詞の中にあるため相手が女性であることは分かりますが、主人公の性別の描写は無いかと思います)「どんな罰も受ける」という歌詞があることから、禁忌的な捉え方での女性同士の恋愛を描いた歌詞…?ととることもできる気がします(2010年代前半の曲なので、まだ同性愛をとりまく見方やフィクションでの描かれ方としても不思議ではないかと)

『わたし(SixTONES)』

・ドラマの曲なので男女という解釈が多いとは思いますが、曲だけでしたらどちらとも言えると思います。

SixTONESの楽曲全般』

・まだまだ歴が浅いので思いつきません。 けど、SixTONESの楽曲は異性愛前提の楽曲が少なくて楽しめます。

『初心LOVE(なにわ男子)』

・王道恋愛ソングではありますが、恋愛ソングによくある「男女」を100%前提とした表現はなく、恋愛をする2人の性別がどうであっても読めるようになっていると感じます。

 

『君の彼氏になりたい。(Snow Man)』

・できそうでできなかった曲なのですが、Snow Man「君の彼氏になりたい」。 性別を特定できない「君」ということは同性とも読めるクィアリーディングができるかも?と一瞬期待したのですが、歌詞には普通に「彼女」というワードがありガッカリしたことがあります。

 

 

【ミニコメント】

 まず最多票を獲得した「消えた初恋」。ドラマを始め映像作品を見る習慣があまりないためBL漫画が原作という知識しかないのですが、なにわ男子デビューという推しだしたいであろうタイミングでBL作品をやる時代になったんだなという思いです。で、これに関連して興味深いと感じたのが、このドラマの主題歌である『初心LOVE』はクィアリーディング可能として挙げられたのに対し、同じく主題歌である『Secret Touch』の方は挙がってこなかったことです。回答者数が多い項目というわけではないのでたまたまという見方もできるけれど、同じテーマを描いているのに差が生まれるのはおもしろいなと感じました。*9

 そして集まった楽曲を見ると、圧倒的に若手と呼ばれる・ジャニーズ事務所の中で若年層のグループの曲が多かったです。その中で輝く『硝子の少年』。キンキはドラマ作品で「人間・失格」も挙がっていましたが、デビュー前~デビュー期の10代のキンキは、異性愛以外の関係を想起させるキャラクターとして解釈される存在だったんですかね…その時代のボーイズラブ文化と併せて調べたら面白そうだなと思いました。
 さらに今回挙げていただいた曲に限って考えると、『硝子の少年』(1997年リリース)や『rouge』(2012年リリース)の詞は、「異性愛以外の関係≒禁忌的な愛」という、どちらかというとステレオタイプ的な解釈としてのクィアリーディングになるように感じたのですが(『rouge』に関してはその旨も明確に書いていただいています)、『名脇役』(2018年リリース)以降の曲は、クィアリーディングをする上でその色も取れてきたような印象です。「禁忌的な愛」ジャンルは全て滅びろとは思っていないですが、クィアにも開かれた曲の愛の描き方がアップデートされているとも読むことができるのはいい傾向だなと思いました。

 

 個人的にめちゃくちゃ重要だと思ったのが、「『君の彼氏になりたい。』をクィアリーディングできるかもと一瞬期待したけれど、普通に「彼女」というワードがありガッカリした」というコメントです。その可能性を感じさせておいて、なんでわざわざそう(異性愛的に)したの!?案件、楽曲(そしてジャニーズにも)限らず結構よくあることだと思います。その先にあるのが、物語の脇役、もしくはスパイスとしてのみ登場させられるマイノリティの表象です。いわゆる「フェアリーテイルゲイ」、物語(社会)の中の規範を大きく揺るがすことのない、あくまで物語の添え物として登場する、都合のいい存在としてマイノリティを描くことは、「異性愛者以外を登場させているのだから、この作品はインクルーシブである」という批判逃れとして機能してしまったり、マイノリティにステレオタイプ的なイメージを(再び)押し付けてしまうことにもなりかねません。今回いただいた楽曲を例に挙げると、『名脇役』以降はステレオタイプ的な描き方から脱出しつつあるのかもしれないと書きましたが、依然として「異性愛以外の恋愛関係」を「禁忌的な愛」という、「ロマンティックな愛の象徴」として描く作品は多いです。ロマンティックでごまかしていますが、異性愛以外を禁忌であるというメッセージを発するのは差別の助長です(禁忌にしているのは社会の方なので)。
 そして今回のタイトルに寄せ、Aro/Ace的な表象について考えると、「愛」と「恋愛」があまりにも強固に結びついているせいで、自分のための愛の物語がみつけにくかったり、セクシュアリティの矯正、否定、不可視化など、Alloセクシュアル、Alloロマンティックの人々とはまた少し異なる(もちろん重なるところもあります)レイヤーでの差別構造が存在したり、そもそも認知度が低かったり(認知度が低いことはそのセクシュアリティが新しい概念であること、軽く扱ってよいものであることを意味しません)と、ま~~~マジでよかったと思えるものに中々出会わねえんですよね。*10

 とまあ、正直ジャニーズに限らず「Aro/Aceのための」と言い切れる作品はまだほとんどないのでは?というのが私の感覚なのですが、しかしクィアリーディングの可能性が開かれている作品がこれだけ集まり、きっとこれからも増えていくだろうと思えるのは良かったと思いますし、どんどんそういう作品を作っていってほしいです。

 

 

考察(のようなもの)

 すでに書いたことと重複してしまいますが、アイドル―ファン構造はAro/Aceにとって居心地のいい環境とは言い難いものであると思いました。(【⑤-1】)その背景には、この社会を支配する異性(恋)愛規範がアイドルーファン構造の中でより色濃く表れていることがあり、それはどちらかというと「雑誌」「テレビ番組」「楽曲」など本人発信のものというより(アイドル業のメインを「ライブ・舞台等」とすると)、彼らを取り巻く環境が異性愛前提で物事を進めようとすることによって強化される傾向にあると言えると感じました。(【⑤-2】【⑥-3】)8割以上がAro/Aceなジャニオタであることで不満・不快・残念と感じたという結果でしたが(【⑤-1】)、そのような思いに対しては「対象の人物・コンテンツに嫌悪感を抱くようになった」「対象の人物・コンテンツを避けるようになった」「不満・不快・残念な気持ちを抱えながらファンを続けている」が多く(【⑥-2】)、私の設定した選択肢がそのような傾向を生んでしまったことも十分あり得ますがファンの側が避けるという、本意ではないのに楽しみの幅を狭められるような行動をとらざるを得ないこと、もしくはその点をどうにか飲み込み、違和感を抱えながらファンを続けるかという、ストレスのかかった状態に陥ってしまうことが多い現状があります。同時に、Aro/Aceのアイデンティティを獲得する(した)こととジャニオタであることは必ずしも気持ちの変化を生むことではなく(【③-1】【④-1】)、またAro/Aceであることで「よかった・嬉しかった・救われた」と感じた人は、全体の1/3程度であること(【⑦-1】)(記述回答でいただいたように「Aro/Aceであることとオタクをすることに自分の中で関連性がない」という意味での「なかった」も含まれていると思いますが)とあることから、ジャニーズ全体がAro/Aceのアイデンティティを祝福する、エンパワメントする存在であると言い切るのはまだ難しいのではないかと思いました。
 しかし、「あなたにとって担当・推しとは」(【⑨】)に、44通りものAro/Aceの語りがあることは、非常に希望のあることだと思います。これらは「アイドルとは疑似(異性)恋愛の対象」のような言説を跳ね除け、異性愛規範や恋愛至上主義に対抗する言葉になると信じていますし、私たちがジャニーズにAro/Aceな欲望、願い、愛を賭けることができる可能性があることであると思っています。

 

 

 

終わりに

 本アンケートの拡散にご協力いただいた皆様、回答に協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。短い募集期間の中、多くの方に協力していただけたことは、ただ結果がたくさん集まったというだけでなく、最大の目的である「Aro/Aceなジャニオタの存在を感じたい」欲求が満たされ、なかなか存在が見えづらい私(たち)のような人間がどんな思いでジャニオタをしているのかを知れたこと自体がとてもエンパワメントされる体験でした。

 そしてアンケートですが、シンプルにめちゃくちゃ面白かったです!!!集まっていく結果を見ながら「ですよね!!!」と一人で盛り上がったり、そういう考え方があるのか……と新たな発見があったり、日頃話を聞くことがなかなかできないAro/Aceなジャニオタの皆様の言葉を聞くことができてとても楽しかったです。そしてアンケートを作る難しさを痛感しました。ほんと拙い内容でごめんなさい……

 今回のアンケートがかなり広い内容を指していたので、もう少しテーマを絞ってアンケートしたり調べたりしてみようかなとぼんやり思っています。私はクィアリーディングに関心があるので、今回教えていただいた楽曲&クィアリーディング可能な楽曲募集に絞ったアンケートをとって、歌ったグループや作詞者について調べることでジャニーズにおけるクィアリーディング可能な楽曲の流れを考える…みたいなのやってみたいです。思ってるだけですが……

 

 最後になりますが、本アンケートに関わってくださった皆様、アンケート作成にあたりチェックに協力してくださったお二方、ありがとうございました!!!

 

 

*1:

ja.wikipedia.org

より、「コミュニティ」の項目を参照

*2:

acearobu.com

*3:たとえば

note.com

記事の形態をとっていなくても、つぶやきとして結構見かけてきた印象があります

*4:残念な気持ちになっただけ」と「残念な気持ちのままファンを続けている」はまじでぼんやりしたニュアンスの違いで、選択肢としてよくなかったなと思っています…

*5:

gendai.ismedia.jp

*6:当ブログでクィアリーディングを試みたのが

signko.hatenablog.com

 

*7:私の調べた限りですが、劇団演技者。において三宅健主演でテレビ放送→のちに桐山照史主演で舞台上演となっていたはずです。初演は2000年、堺雅人さん主演です。

*8:当ブログでクィアリーディングを試みたのが

signko.hatenablog.com

 

*9:関連した話題として、「消えた初恋」と『初心LOVE』の関係についてのクィアな考察がされていると思ったのがこちらのブログです。

nazpipi.hatenablog.com

*10:例えば私は「恋せぬふたり」は良いところ2.5~3/悪いところ7~7.5くらいの感覚でしたし、最近だと「恋マジ」の最終回でアセクシュアルステレオタイプ的な描き方に批判が集まったりしていましたね。ドラマを見ていないのでツイートで知った情報のまた聞きみたいなことをしてしまうのですが、それでも何となくつかんだ流れで「またそういうパターンね……」となりました