光を見ている

まるっと愛でる

HELLO HELLO、覚えていて忘れないで

「V6 LIVE TOUR 2015  -SINCE 1995~FOREVER-」のオーラスの曲、「HELLO」が大好きだ。Loppi盤収録という非常にわかりづらい(ごめんなさい)タイプの盤の曲なので、おそらく世にはあまり回っていないことでしょう。その曲を最後に聴いて、それがほぼ初めて聴いたのにも関わらず、好きになったのは、映像という目に見える物で見たからというのもあります。




好きすぎて、スマホで撮って(無論自分の為だけにです、ネットなんぞにあげるなんてしません)何回も見る日々ですが、そこで、私がHELLOを好きになった理由に、このライブでこの曲を歌うイノッチがいたことがあるのかな、と思います。そのことを書こうと思います。






まず、この「HELLO」という曲は、Chemical VolumeさんがV6に提供した曲です。「三宅健のラヂオ」で触れられ、そこからChemical Volumeさんがツイッターで、亡くなられた御友人の方を想って書いた曲だとおっしゃっていました。その時はそこまで聴いておらず、どんな歌なのかもわからずに、何となく静かだなぁくらいに思っていました。しかし、そのツイートを読んで、ライブを見ると、色々思うことがありました。




楽曲提供をする場合、作家さんは少なからずその曲に歌い手へ思いを込めるのだと思います。そして、この曲は明確なメッセージが込められています。亡くなられた御友人への思いです。そのことを知ってから歌詞を読むと、本当にいいメッセージだなと思いました。しかし、提供された側のV6は、20周年というタイミングです。20周年で、続けてきたことを祝うタイミングで、乱暴に言って「死」の混ざっている曲を受け取って歌う。そんな理由もあったからなのか、ただただ一楽曲としてその世界観を守ったからのか、CD音源での彼らの歌声は、変な感情は入れず、ずっと静かなまま語るように聴こえました。




ライブでも、最初の健坊と剛くんの歌声の、びっくりするくらい静かで穏やかに優しさが響いたとか、そりゃあ音源と全く同じではなく、でも悪い意味でなく、全員がプロのアイドルとしてメッセージソングを歌っているのかな、と最初は思って見ていました。




イノッチの顔が映ったとき、その表情に驚きました。どこか泣くのを堪えているような表情だったからです。坂本くん、ひろし、オカダはいつも通り、剛健は少し感傷的でしたが、イノッチはそれ以上で、終始穏やかで、でも泣きそうな表情でした。イノッチ作曲、メンバー作詞の「~此処から~」の方が、エモい音だし、結果的に6人が6人に向けて作った歌の方がエモくなるに決まっているはずなのに、「~此処から~」で見せなかった顔をずっとしていました。





この曲でイノッチが歌う歌詞は、
Arrowのよう こぼれ落ちる速さであなたの顔も 忘れてしまいそう?

です。なんて残酷なことを歌ってるんだろう。流れでは、次のひろしが、「それでも」と受け入れ、それを肯定して進むのが胸アツなのですが。果たしてこの曲を歌っている時、イノッチは「あなた」を誰に向けて歌っていたんだろう。そして、あなたへ「忘れてしまいそう?」と問いかけて、どう返ってくると思っていたんだろう。



少し逸れる話になりますが、私は死ぬ(いなくなる)イコール、人の記憶からなくなる、忘れられるということで、人から忘れられた時に自分の存在が無くなると思います。芸能界に生きる方々は、日々信じられないくらいたくさんの人と出会い、出会ってきたでしょう。その日々のなか、20年経って、自分が忘れた人も、自分を忘れた人もいるでしょう。イノッチはジャニーズ事務所所属であるので、いなくなったジュニア時代の友達がいたり、何より坂本くんとひろしと会えなかった時期があります。大切で大好きな人との別れを経験しています。移り変わりの中生きて、その人たちとグループを組み、20年走ってきて、その20年で6人がそれぞれ変わっていくこともたくさんあったことでしょう。


その変わりやすい世界で、20周年ツアーファイナルを迎え、始まった場所で20年変わらないまま6人でラストの曲を歌うという、その状況で、井ノ原快彦としてイノッチとして、色々な思いが巡っていたのかなと思います。それで涙を我慢して歌い切り、ネタトーンでハグに行ってはいたけれども泣きそうな顔のままで、そして一番に全員とハグし終えたイノッチは、嬉しそうに5人を見ていました。ライブで6人は、ファンへありがとうと言ってくれましたが、この曲を歌う時には、それぞれがほかの5人のことだけを想って歌って欲しいなと思いました。この時だけは、我々ファンなんて頭の中にいなくていいから、6人が6人を思って歌う曲であって欲しい。その末のあのイノッチの泣きそうな表情だったら嬉しいし、そのことを幸せに思ってくれていたら嬉しいと、そう思います。



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